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コラム

SDGsの取り組み事例│持続可能な社会の実現に向けた17のゴールとは?

2022.06.01

2015年に国連によって採択され、今や世界における様々な価値基準のひとつとなった「SDGs」。持続可能な開発のための2030アジェンダとしてそこで掲げられた17の国際目標は、2030年を達成年限としており、その達成には官民一体となって取り組む必要があると言われています。

「誰一人取り残さない」というコンセプトのもと、すべての人が世界市民・地球市民としての意識を持ちながら歩んでいくことが重要なのです。

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SDGsとはどのような取り組みなのか

昨今では様々なメディアやCMなどでも盛んに使われる言葉になったSDGsですが、世界的な社会課題であるにも関わらず、その成り立ちや実態を正しく理解し、説明できる人はあまり多くないかもしれません。

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SDGsとは

「Sustainable Development Goals」をそれぞれの単語の頭文字で表現したものがSDGsです。読み方は「エス・ディー・ジーズ」で、日本語では「持続可能な開発目標」と翻訳されています。

SDGsは2015年9月に開催された国連サミットで採択され、2030年までにその国際目標を達成し、持続可能な世界を実現することを目指しています。17のゴール(国際目標)で構成され、これらの下にはさらに169のターゲットと232の指標が設置されています。

「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」はSDGsで挙げられている標語の1つです。それと同時に、持続可能かつ多様性・包摂性のある社会の実現が目的とされています。

しかし現状では国連のゴールからかけ離れており、政府による取り組みだけでは達成が難しい状況だと言われています。現在は2030年に向けた「行動の10年」として捉えられており、自治体、企業、個人に至るまでサステナビリティを意識した行動を取ることが重要だと国連関係者は訴えています。

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SDGsが採択された背景

SDGsが採択される以前にも、その前身となる開発目標が掲げられていました。英語での正式名称はMDGs(Millennium Development Goals)、日本ではミレニアム開発目標と呼ばれるものです。2001年に策定されましたが、その内容は2000年の国連ミレニアム宣言と1990年代にすでに採択されていた国際開発目標を統合したものとなっています。MDGsは発展途上国向けの開発目標で、貧困・飢餓、初等教育、女性、乳幼児、妊産婦、疫病、環境、連帯、の8つで構成されていました。

開発目標のうち一部は2015年までに達成されましたが、一部未達成のまま年限を迎え、SDGsはこのMDGsを踏まえて新たに設定された開発目標ということになります。それはこの新たな17の開発目標からも見て取れます。SDGsでは発展途上国・先進国、つまり世界各国が取り組むものへと規模が拡大されているのです。

  • * 参考:「SDGsの概要及び達成に向けた日本の取組」(外務省 国際協力局 地球規模課題総括課)
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_gaiyou_202108.pdf
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SDGsの実現に向けた17の目標

MDGsを経て見えてきた課題を、さらに規模を拡大させて誕生したSDGs。その17の開発目標を詳しく見ていくと、より具体的な目指すべき姿が顕わになります。

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目標1:貧困をなくそう

現在世界では6人に1人が極貧の状態にあると言われています。そのような「極度に貧しい」人々、つまり1日1.9米ドル(約200円)未満で生活している貧困層を老若男女問わず減らすこと、平等な立場で生活できること、などが重要となります。具体的な解決方法は2つ挙げられており、1つは開発途上国での「貧しさ」を解消するための計画・制作の実行、および資金調達。もう1つは世界各国でそういった人々やジェンダーを考慮した政策を打ち出すことです。

  • * 参考1:「子ども6人に1人が極度の貧困で暮らす ユニセフと世界銀行による分析」(公益財団法人 日本ユニセフ協会)
    https://www.unicef.or.jp/news/2020/0223.html

  • * 参考2:「1.貧困をなくそう」(公益財団法人 日本ユニセフ協会)
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/1-poverty/
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目標2:飢餓をゼロに

世界の人口のうち約26%は食料不安の問題を抱えて生活しています。その中には深刻な食料不安に晒されている人々も存在しており(全体の9.7%)、40人の生徒がいる教室で例えると、そのうち4人はその日だけでなく明日以降の食料確保も定かではない状況です。栄養不良をなくすこと、小規模食糧生産者の生産性・収入を向上させると同時に、自然災害に負けず、生態系を侵さず、持続可能な食料生産体制が求められています。

  • * 参考:「2.飢餓をゼロに」(公益財団法人 日本ユニセフ協会)
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目標3:すべての人に健康と福祉を

病気や怪我をした時に、世界中どの国でも適切な治療を受けることができ、健康で幸せな生活を送れるようになることが大切です。しかし治療を受けられずに失われる命があるのが現実で、例えばサハラ以南のアフリカでは2人に1人の割合で子供が風邪・マラリア・肺炎に罹っても治療を受けられない状況にあります。こういった現状を解決する他、熱帯病・感染症・交通事故などによる死亡者・負傷者を減らすことも目的とされています。

  • * 参考:「3.すべての人に健康と福祉を」(公益財団法人 日本ユニセフ協会)
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/3-health/
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目標4:質の高い教育をみんなに

世界には数多くの学校に通えない子供たちが存在します。性別関係なく全ての子供が少なくとも小学校・中学校で質の高い義務教育を受けられるようになる他、全ての人々が高等教育や技術・職業に関する教育を受けられるようになる世の中が必要なのです。一人一人の教育水準を上げることで持続可能な社会の形成を目指します。

  • * 参考:「4.質の高い教育をみんなに」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/4-education/
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目標5:ジェンダー平等を実現しよう

これまで女性・女の子は教育機会を失う可能性が男性・男の子よりも高く、性暴力・強制的な結婚・割礼など多くの制約下で生活していました。このような不平等を解決することで男性と同じように女性が社会進出できるよう、平等に機会を得られるよう、社会的・法的な枠組みでの改革が求められています。

  • * 参考:「5.ジェンダー平等を実現しよう」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/5-gender/
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目標6:安全な水とトイレを世界中に

世界では22億人の人々が水道設備のない暮らしを送っていたり、6億7300万人の人々がトイレ設備がないため屋外で用を足していると言われています。世界中で誰しもが安全に水を利用できるようにすると同時に、生態系の保護・回復にも取り組むことが大切です。開発途上国では水を効率的に利用することやリサイクル・再利用技術向上が取り組まれています。

  • * 参考:「6.安全な水とトイレを世界中に」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/6-water/
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目標7:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに

世界では7億8900万人が電力を使えない生活を送っています。先進国・開発途上国など、国の立地に関係なく、皆が安く・安定して利用できる持続的なエネルギーが普及した社会を目指します。現在再生可能エネルギーは世界で使用されるエネルギー全体の17.5%と言われています。この目標を実現するには設備や技術、そしてそれらを向上させるための投資が重要です。

  • * 参考:「7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/7-energy/
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目標8:働きがいも経済成長も

世界の貧しい国では5歳から17歳の子供のうち、4人に1人が労働を強いられている状況にあると言われています。さらに教育や職業訓練を受けることもできず就業できない人々も存在しています。児童労働を禁止すること、教育や職業訓練を受けられない人々を減らすこと、各国地域に合わせた産業の構築などに向けた取り組みが必要とされています。

  • * 参考:「8.働きがいも経済成長も」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/8-economic_growth/
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目標9:産業と技術革新の基盤を作ろう

災害に強いインフラを構築するための目標です。例えば世界には約37億人の人々がインターネットへアクセスすることができなかったり、17%の人々は携帯電話の電波が届かない地域に住んでいると言われています。開発が遅れている地域へ、災害に強く持続可能なインフラを構築し、地域・国を超えたインフラを目指します。

  • * 参考:「9.産業と技術革新の基盤を作ろう」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/9-industry/
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目標10:人や国の不平等をなくそう

世界の1%の富裕層が世界の富の33%を持っているというような不平等を解決するための目標です。もちろん1つの国の中でも格差は広がっており、例えば農村部における極度の貧困率は都市部の3倍を超えています。低所得者層の所得を増加させるだけでなく、あらゆる差別をなくして皆が平等な機会を手に入れられるような取り組みがなされています。

  • * 参考:「10.人や国の不平等をなくそう」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/10-inequalities/
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目標11:住み続けられるまちづくりを

自然災害に強く誰しもが安全に生活できる持続可能なまちづくりを進めるための目標です。自然災害の発生件数は過去40年で増大しています。老若男女関係なく安全に生活できる街づくりを進めると同時に、文化遺産や自然環境を保護すること、そして都市部・農村部が共につながり合う社会を目指します。

  • * 参考:「11.住み続けられるまちづくりを」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/11-cities/
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目標12:つくる責任、つかう責任

食料や天然資源を効率的かつ無駄なく管理するための目標です。世界では約13億トンの食料が廃棄され、さらには地球が再生産できる量を超えた自然資源の消費が為されています。廃棄食料の削減や天然資源の管理、リサイクル・リユースなどを通じて持続可能な開発や自然との調和が取れた生活を目指しています。

  • * 参考:「12.つくる責任、つかう責任」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/12-responsible/
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目標13:気候変動に具体的な対策を

世界中で確認されている地球の気候変動に対応するために掲げられた目標です。19世紀後半から現代にかけて大きく増加した世界のCO2排出量、年々増加する自然災害件数、そして気候変動によってこれまでの暮らしが悪化しつつある人々など、気候変動に関連した数多くの問題が発生しています。気候変動の速度を緩めると同時に、変化に対応するための各国の政策や教育での啓発などが求められます。

  • * 参考:「13.気候変動に具体的な対策を」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/13-climate_action/
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目標14:海の豊かさを守ろう

海洋資源を守るために掲げられた目標です。年間800万トンのプラスチックゴミが海へ流れ出ているとされています。そのような海洋ゴミによる汚染や生態系への悪影響を防ぐ必要があります。魚介類全体の数が減少しないような漁獲制限、化学的に管理された漁業を行い、海洋資源の持続可能な利用を目指します。

  • * 参考:「14.海の豊かさを守ろう」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/14-sea/
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目標15:陸の豊かさも守ろう

陸上・内陸淡水地域の生態系の保護・回復を目標としています。今、世界では動植物の減少・絶滅が進み、これまでの生態系が失われつつあります。森林の減少防止や生態系の保護、荒廃した土地・土壌の回復を進めます。

  • * 参考:「15.陸の豊かさも守ろう」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/15-land/
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目標16:平和と公正をすべての人に

世界で起きているあらゆる暴力の撲滅や犯罪行為を撲滅するための目標です。世界では5人に1人の割合で暴力により死亡する子供がいると言われています。司法の強化や違法な武器取引・汚職などをなくすだけでなく、開発途上国が国際機関へ参加することで国境を越えた問題解決ならびに関係性の強化も訴えています。

  • * 参考:「16.平和と公正をすべての人に」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/16-peace/
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目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

世界の人々皆が協力してこれら16の開発目標を達成することが目標とされています。そのために減少しつつある政府開発援助(ODA)の予算をより集めて開発途上国へより多くの資金を支援する他、技術的なサポートも積極的に行うことで官民を超えたパートナーシップを形成します。

  • * 参考:「17.パートナーシップで目標を達成しよう」
    https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/17-partnerships/

  • * 参考:「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」(外務省国際協力局)
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf
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大豆ミートとSDGsの関係

環境配慮やエコ意識の高まりで最近、ますます注目されるようになった「大豆ミート」もまた、環境問題やたんぱく質クライシス(食糧問題)、食品ロスの問題など、いくつものSDGs的観点からその必要性を紐解いていくことができます。

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地球が抱えている問題 その1 人口・食料問題!
SDGs の2番「飢餓をゼロに。」への貢献

国際連合広報センターによれば、2050年の世界人口が約100億人へと到達する見込みと言われるなか、牛や豚、鶏といった、畜産による食肉の供給が足りなくなることが危惧されています。とくに現代の食生活はお肉からのたんぱく質摂取が多く、食肉の生産は育てるための穀物や水が大量に必要となるため、環境負荷の高さが問題視されているのです。それらの改善策として期待されるのが、代替たんぱく源としての「大豆ミート」です。

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地球が抱えている問題 その2 健康問題!
SDGs の3番「すべての人に健康と福祉を」への貢献

さらに「大豆ミート」は世界規模の健康問題解決に貢献します。現在、世界では約8億人が飢餓で苦しんでいると言われる一方、約20億人が肥満状態にあると言われており、矛盾した2つの問題に直面しています。

しかしこの2つの問題も大豆ミートで解決できると言われています。

大豆は世界中のやせた土地でも栽培できる上、栄養満点な食料。人間に必要な三大栄養素の一つであるたんぱく質は、本物のお肉と同じぐらい含まれているのにヘルシーな食材です。大豆や大豆加工品が主原料の「大豆ミート」は世界規模の健康問題の解決に貢献することが期待されています。

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地球が抱えている問題 その3 地球温暖化!
SDGsの 13番「気候変動に具体的な対策を」への貢献

「大豆ミート」は気候変動や環境汚染の抑制に役立つことが期待されています。家畜による環境負荷が全世界的な課題とされるなか、それらを低減する代替食としての期待です。牛のゲップや排泄物から排出される温室効果ガスの削減、さらには土壌や水質汚染の改善なども期待されているのです。

このように「大豆ミート」が世の中に浸透すれば、SDGsの3つの目標を達成しながら持続可能な世界に貢献することが期待されています。

  • * 参考:日本国温室効果ガスインベントリ報告書
    https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg-mrv/unfccc/material/NIR-JPN-2015_J.pdf

  • * 参考:国際連合広報センター
    https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/social_development/population/

  • * 参考:世界の水危機、日本の水問題
    東京大学生産技術研究所 人間・社会大部門 助教授 (併任) 沖 大幹
    http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/Info/Press200207/Doc/IIS2002-07oki.pdf

  • * 参考:食料と栄養に関する国連合同報告書
    https://www.unicef.or.jp/news/2021/0140.html

  • * 参考:世界の20億人が肥満か過体重
    https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2021/009836.php
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共通言語としてのSDGs

この数年で、SDGsに関する取り組みは、私たち個人レベルにまでおよぶものとなってきました。この2020年代において、SDGsは広く普及しており、企業活動や個人、国家を結ぶ共通言語となりつつあります。

どこか遠い世界の、遠い課題ではなく、私たち自身が生きる環境の、そして時代の、価値基準として、また新たなチャレンジとして、忘れてはいけないテーマだと言えるのではないでしょうか。

コラム 大豆ミート

※当サイトでの『大豆ミート』とは、「大豆肉」「大豆たんぱく」「ソイミート」「ベジミート」など、大豆からたんぱく質を取り出し、繊維状にしてお肉のように加工した食品を指しています。