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コラム

プラントベースフードとは?
ベジタリアン・ヴィーガンとの違い

2022.04.20

環境負荷を軽減するというサステナブルの分野や、体調管理などを目的に世界的に注目が強まる「プラントベースフード」。プラントベースフードは植物由来原料を使い、食感や味などもふくめて、お肉や魚料理などを再現した食の選択肢です。たとえば、大豆で作られた大豆ミートや、オーツ麦から精製されたオーツミルクなどが、ここ数年で一気に市場に広がってきました。

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プラントベースフードとは?

近代から現代にかけての食へのアプローチは、カロリー過多や脂質過多など、健康上の問題とは切って離せない関係でした。しかしプラントベースフードは、宗教的な理由やアレルギーなどとの向き合い方を変えてくれるだけでなく、食の満足と健康志向を両立する、いわば食におけるイノベーションなのかもしれません。「ジューシーなキーマカレーなのに、実はプラントベースのミンチタイプを使っていて健康的」、「一見ボリュームのあるハンバーガーなのに、実は植物由来原料のみで作っていて美味しい」など、そんなポテンシャルを秘めているのがプラントベースフードなのです。

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プラントベースフードの定義

プラントベースフードは、動物性原材料ではなく、植物由来の原材料を使用した食品のことを指します。これまでに、大豆や小麦などから「肉」「卵」「ミルク」「バター」「チーズ」などの代替となる加工食品が製造・販売され、畜産物や水産物に似せて作られていることが特徴です。

  • * 参照:消費者庁「プラントベース食品関連情報」
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プラントベースフードが注目される背景

消費者の嗜好が多様化してきたことは、プラントベースフードを後押しする理由のひとつだと言えるでしょう。日本においても徐々に、肉などの動物性食品に偏った食事を見直し、野菜や大豆を中心にする和食本来の魅力が詰まった食事を選択する消費者が増えているように感じます。

2つ目の理由は、宗教上・健康上の理由で食事が制限されている人々の存在です。ご存じの通りヒンドゥー教では牛肉を食べられませんし、イスラム教では豚肉を食べません。彼らは、脂やだし汁にいたっても、その戒律を厳格に守っていることが多いのです。また、甲殻アレルギーでエビやカニを食べられない人々などは、常に食事に制約がかけられています。プラントベースフードの普及によって、これらの人々が安心して食事を楽しむことができるようになり、食の選択肢を飛躍的に拡大してくれることでしょう。

3つ目の理由は、人口増加に伴う動物性たんぱく質の供給不足です。肉や魚は有限な資源で供給量に限界がある一方で、国連は地球の人口が2050年までに97億人にまで達するという報告書を発表しています。プラントベースフードはそれらの代替品としても注目され、これは国連が掲げるSDGsの「持続可能な社会」の形成にも関与し、サステナブルな食文化として注目を集めています。

  • * 参考:「プラントベース食品って何?」(消費者庁)
    https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/
    JAMA Intern Med. 2019 Oct 1;179(10):1448. doi: 10.1001/jamainternmed.2019.4883.
  • * 参考:国際連合広報センター
    https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/33798/
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プラントベースとベジタリアン、ヴィーガンの違い

プラントベース(Plant Based)は、文字通り植物に由来するという意味で、プラントベースフードは植物性の代替食品を総称する言葉です。ベジタリアンやヴィーガンが動物性食品を制限するライフスタイルの選択肢だと捉えるならば、プラントベースフードはそんなライフスタイルとも寄り添っていけるような、食生活における新たな選択肢として注目されています。

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ベジタリアンとは

ベジタリアン(菜食主義者)は動物性食品の摂取に一部制限をかけている人々で、一般的には肉類・魚類を食べない人たちを指します。動物性食品の中でも乳製品だけを食べるベジタリアンはラクト・ベジタリアン、乳製品と卵類を食べるベジタリアンはオボ・ベジタリアンなどと呼ばれています。

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ヴィーガンとは

一般的にヴィーガン(完全菜食主義者)は、一切の動物性食品の摂取を避ける人々のことを指します。また食品にとどまらず、その製造過程における動物性由来との関係性や、衣類、日用品なども含め、あらゆる動物性製品の使用を制限している人たちもいます。そこには動物愛護や環境保護の観点、さらに宗教上の理由などが由来していることもあります。

  • * 参照:日本ベジタリアン協会「ベジタリアンとは?」
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プラントベースフードを選ぶうえでの注意点

プラントベースフードは、動物性食品の代替食品として期待されていますが、実際に選ぶ際にはいくつか注意するべき点があります。一般の人にとっては、栄養が偏りがちであることを注意すべきでしょう。ヴィーガンやベジタリアンがプラントベースフードを選択する場合は、本当に忌避物が含まれていないか、細心の確認が必要です。

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表示内容をよく確認する

プラントベースフードはあくまでも植物由来を取り入れる考え方なので、プラントベースと表記されている商品名でありながら、一部に動物性由来の成分が原材料に含まれている場合があります。例えばプラントベースのサンドイッチの場合、ソーセージはプラントベースフードでも、卵がパンの原材料に含まれてるといったケースです。またレストランなどではプラントベースフレンドリーな料理として、プラントベースのミンチを使い、パルメザンチーズをまぶしたボロネーゼなどが考えられます。

また、食品表示法では複合原材料の原材料が3種類以上ある場合にあっては、当該複合原材料の原材料に占める割合の高い順が3位以下であって、かつ、当該割合が5%未満である原材料については「その他」と表示することができるため、ヴィーガンを目的としたプラントベースフードの選択は、注意する必要があります。

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栄養バランスに配慮する

動物性食品が持つ脂質やコレステロールは、植物性食品にはあまり含まれていない大切な栄養素という考え方もあります。中でも動物性たんぱく質は植物性たんぱく質とは異なるアミノ酸を含んでいます。たとえば、プラントベースのクッキーにはちみつなどを加えたりすることで、このバランスをうまく成り立たせることができます。ヴィーガンやベジタリアンでない限り、動物性食品もバランス良く摂取することが健康な食生活を送るためには必要な選択肢だと言えるかもしれません。

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無理をしない

無理な食事制限は著しいストレスを心身へ蓄積します。たとえ栄養が十分な食事でも、体調が精神的ストレスによって崩れかねません。代替品ではなく本来の肉や魚を食べたいと感じたら、その時には無理をしないという選択も大切です。

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プラントベースフードがヘルシーかどうかは
原材料や食べ方次第

モデルなどの職業柄、あるいは糖尿病など健康上の理由から、これまでヴィーガン食やベジタリアン食を選んできた人にとって、プラントベースフードは健康を害することもなく、非常に有効なライフスタイルと言えるでしょう。
しかし、プラントベースフードがヘルシーな食生活を実現するかどうかは、食事全体のバランスを考えること、無理な食事をしないなど消費者それぞれの努力・取り組み方次第でもあります。普及が進めば代替食材を利用した新レシピの誕生も期待され、より一層食卓が色鮮やかになる期待もあります。21世紀の新しい食品は、未来の食卓に大きな変革を導くことになりそうです。

コラム 大豆ミート まめ知識

※当サイトでの『大豆ミート』とは、「大豆肉」「大豆たんぱく」「ソイミート」「ベジミート」など、大豆からたんぱく質を取り出し、繊維状にしてお肉のように加工した食品を指しています。