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コラム

高たんぱく質の料理には何がある?
摂取効率を高めるポイントとは

2022.04.20

身体作りのためのトレーニングが必要な人や、ボディメイク、ダイエットを目指す人には、筋肉を育てる栄養素としてメジャーな存在であるたんぱく質。昨今では、一般の人にもその重要さが浸透し、コンビニエンスストアやスーパーにも、たんぱく質量を表記した食品が並ぶようになりました。たんぱく質が、人の健康に大事な栄養素であり、ひいては美容や脳の働きなどにも影響することが知られるようになってきています。日々の生活で、十分なたんぱく質を摂取するには、どうするべきなのでしょうか。

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たんぱく質の役割

三大栄養素の1つにあたるたんぱく質は、筋肉や髪の毛などを構成する栄養素です。また、たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の中でも、「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類のアミノ酸は体内で生成することができないため、食事などで摂取する必要があります。

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そもそもたんぱく質とは

たんぱく質は人間の体組成中、水の次に多い成分です。おおよそ水分が60%、たんぱく質は17%、ついで15%がエネルギーを蓄える脂質、と続きます。いわば、たんぱく質は身体の骨格にあたる成分と言えるでしょう。また、科学的に言えば20種類のアミノ酸(L-アミノ酸)で構成される化合物としてとらえることもできます。このうち9種類の通称(イソロイシン、ロイシン、ヒスチジン、リシ ン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、トレオニン、トリプトファン)は必須アミノ酸(EAA)と呼ばれていて、体内では生成されないため必ず摂取する必要があります。

厚生労働省によると、たんぱく質の1日の摂取量の推奨値は、男性(18歳〜64歳)が65g、女性(18歳〜64歳)が50gとされています。なお、たんぱく質の摂取不足や過剰摂取については現在も様々な研究が進められています。

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たんぱく質の主な役割

たんぱく質は様々な組織の元になる成分で、例えば皮膚、筋肉、髪の毛などはたんぱく質によって構成されている他、体の代謝機能の調節にもたんぱく質が用いられています。また、アミノ酸は神経伝達物質の生成に関わる成分でもあり、脳を機能させて、思考・判断を鋭くするためにもたんぱく質は不可欠です。

  • * 参考:「e-ヘルスネット」(厚生労働省)
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-001.html
  • * 参考:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(厚生労働省)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
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高たんぱく質の食材

たんぱく質の成分量は、食品によって大きく差があります。特に注意したいのは、料理としてたくさん食べられるかどうかという観点です。たとえばふかひれはたんぱく質の塊のような食材ですが、頻繁に食べる食材ではないでしょう。煮干しも非常にたんぱく質を多く含む食材ですが、大量には摂取できません。ですが、鶏肉のささみは料理次第で量を食べられる食材です。

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肉類

牛や豚のヒレ・モモ・肩は動物性たんぱく質を豊富に含む食材です。たとえば豚のヒレ肉(100g/赤肉/生)は22.2gのたんぱく質を含んでおり、1日に必要なたんぱく質の1/3ほどを摂ることができます。

鶏肉はこれらに劣らず高たんぱくです。サラダチキンに代表される胸肉(皮なし/生)は、100g中23.3gあり、ささみ肉(生)も100g中24.6gながら低脂質で値段が安い傾向にあり、アスリートや筋トレをする人達の定番になっています。ただし、パサつきがちで料理にひと工夫必要です。一方、食べやすさが人気のもも肉も100g中19.0g。比較すると脂質も高いので、総じてカロリー過多になりがちなところが悩みどころです。

なお、ビーフジャーキーは乾燥の過程で栄養が凝縮されているため、100g中54.8gと非常に高たんぱくです。量は食べづらいのですが、間食にとりいれることで効果的にたんぱく質を摂取できるでしょう。

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魚介類

かつおの削り節(100g中75.7g)やさくらえびの煮干し(100g中59.1g)、かたくちいわしの煮干し(100g中64.5g)など、魚介類に多い乾燥食材は高たんぱくな傾向です。ふりかけなどに混ぜて工夫することで、一食当たりのたんぱく質摂取量に手軽に加えることができます。可食部の多い干し魚も高たんぱくな食材で、干しだらは100g中73.2g、とびうおの焼き干しは100g中73.4gと、100g中の含有量が優秀です。

焼き魚や刺身も、たんぱく質多めに摂取できる食べ方です。焼き鮭は100g中29.1g、くろまぐろの焼き身が100g中29.0gと高たんぱく。くろまぐろの赤身部分刺身は100g中26.4gです。魚介類は、総じて脂質抑えめで高たんぱくの傾向があります。

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豆類

大豆は、畑の肉と呼ばれるほど植物性たんぱく質を含み、農作物の中では最もたんぱく質含有量に優れています。他の農作物と比較しても圧倒的で、日本の食文化の礎を担ってきました。また、昨今では、大豆を原料にした大豆ミートと呼ばれる代替肉や、大豆のたんぱく質を抽出したソイプロテインなども市販されています。

凍り豆腐(100g中50.5g)は、炒め物や汁物にも混ぜやすく、使い回しの効きやすい食材といえるでしょう。 きな粉は100g中37.5gのたんぱく質を含んでおり、小麦粉を使うパンケーキや、唐揚げなどに混ぜ込むことでたんぱく質を摂取できます。

他の豆類もたんぱく質源として優秀です。そらまめ(しょうゆ豆)は100g中9.8g、えんどうまめ(ゆで)は100g中9.2gと、メインの食材にはしづらいものの、副菜のおかずとして活用できます。スープにしやすいレンズ豆、煮物にしやすい黒豆、豆乳、枝豆なども摂取していきたいところです。

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乳製品

乳製品の中でも高たんぱくな食品は、チーズです。例えばパルメザンは100gあたり44.0g、チェダーは25.7g、カマンベールは19.1gのたんぱく質を含んでいます。脱脂粉乳は34.0gのたんぱく質を含み、こちらも料理に混ぜ込みやすい食材として重宝されています。また乳製品は、身体作りのためのホエイプロテインの原材料として知られています。

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卵類

鶏卵は、価格帯、使い勝手などを考慮して最も便利な卵類の高たんぱく質食材です。鶏卵 (全卵/生)は、100gあたり約12.2gのたんぱく質を摂取できます。Mサイズの卵が約50gなので、一杯の卵かけごはんを食べると、約6g摂取できる計算です。

  • 参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
    https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
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たんぱく質を効率良く摂取するポイント

プロテインを大量に飲めば、それだけでたんぱく質が補えるというわけではありません。たんぱく質の効率的な摂取方法はいくつか提案されていますが、これらについては諸説あり、議論・研究が現在も行われています。また、炭水化物、脂質とのバランス(PFCバランス)も大事な要素です。

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1日数回に分けてたんぱく質を摂る

効率よくたんぱく質を吸収するため、たんぱく質を数回に分けて摂取することはトレーニング好きの人によく知られている手法です。1回当たりのたんぱく質の吸収限界量については根拠のある論文がないのですが、摂った分だけ吸収されることは考えづらく、また近年では食事ごとに20〜35gあるいは0.40/kg体重のたんぱく質を摂ることでもっとも筋肉合成の反応が促進される、という研究結果が出ています。あまり量を食べられない人にもおすすめです。

  • 参考:Ishikawa TK et al. (2018). Geriatr Gerontol Int.
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複数のたんぱく質を組み合わせる

ある研究では、乳たんぱくであるホエイプロテインは摂取後の吸収が早く、血中のアミノ酸濃度を一気に高めてくれることがわかっています。また、同じ乳たんぱくのカゼイン、それと大豆たんぱくのソイプロテインは、ゆっくり吸収されるという特徴があります。ホエイの場合は持続性がありませんが、カゼイン・ソイの場合は長時間アミノ酸濃度を維持してくれるので、この2種のたんぱく質を同時に摂ることで、瞬間的なアミノ酸濃度と維持可能なアミノ酸濃度が手に入り、より身体のアミノ酸濃度を一定に保ってくれると言われています。

また、同じように食品ごとにもアミノ酸の組成や吸収率が異なることが知られており、バランスよく摂取することが良いとされています。

  • 参考:Jason E.Tang et al.(2009).J Appl Physiol, ​​「アミノ酸スコアブック」Luvtelli
    Tryon Wickersham et al.Protein Supplementation of Beef Cattle to Meet Human Protein Requirements
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ビタミンB6を多く含む食材と一緒にたんぱく質を摂る

ビタミンB6はたんぱく質の分解・合成に使われる栄養素です。ビタミンB6が十分摂取されることで、たんぱく質の分解・合成を補助します。カツオやマグロ、レバーなどはたんぱく質に加えてビタミンB6も多く含んでいることから、高たんぱくな食事におすすめの食材とされています。

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戦略的に高たんぱく食品を摂取する

世界中で注目が高まるたんぱく質は、身体作りだけでなく、健康維持の必須栄養素です。特に日本人は、米中心の食生活であること、麺食を好むことなども影響し、たんぱく質を摂りやすい肉・魚・豆類から徐々に遠ざかりがちです。そこで意識するべきなのは、戦略的なたんぱく質摂取と言えるのかもしれません。朝ご飯に納豆や煮干しを取り入れたり、お昼ご飯にたんぱく質を含むサラダやヨーグルトを取り入れたり、1週間に一度は鶏の胸肉や大豆ミートをメインディッシュにした献立を考えたりしてみるだけでも効果的かもしれませんね。

コラム 大豆ミート まめ知識

※当サイトでの『大豆ミート』とは、「大豆肉」「大豆たんぱく」「ソイミート」「ベジミート」など、大豆からたんぱく質を取り出し、繊維状にしてお肉のように加工した食品を指しています。